作文|安田学園中学校

A・Bの文章を読んで、あなたにとって、記憶とはどういうものだと考えますか。A・Bの文章の論旨にも触れながら、自分の体験なども交えて考えをまとめ、三百五十字以上四百字以内で書きなさい。

課題文の分析

課題文A:『思考の生理学』外山滋比古<ちくま文庫>

これまで人間にしかできないとばかり思われていたことを、コンピューターがどんどん、いとも簡単に片づけてしまう。

しかも、記憶、再生とも、人間は、とてもコンピューターにかなわない。

機械に仕事を奪われた人間は、機械には手の出ない事務所の中に主要な働き場所を見つけて、サラリーマンが生まれた。

コンピューターの普及が始まっている現代においては、この教育観は根本から検討されなくてはならないはずである。

(この本が、)知ること、よりも、考えることに、重点をおいてきている

人間の仕事が機械にとってかわられてきた歴史をたどった文章です。

そして、そのメッセージはもちろん、「人間は、機械にとってかわられない方向で役割を見つけなければならない」「知識・暗記よりも、考えることが重要だ」ということです。

課題文B:『なつかしい時間』長田弘<岩波新書>

人間の人間らしさを、記憶はささえます。

記憶力を鍛えるというのは、便宜上の選択ではなく、倫理の問題だったのです。

記憶は心に結ばれる像の、イメージの倉庫でした。

人間が自ら記憶力を手放してしまっているような危うさを感じます。

課題文Aで書かれている『記憶』は、主に『知識・データとしての情報』という側面が強いものでした。

そして、『知識・データとしての情報』の蓄積は、コンピューターには敵わないので、そうではない領域で人間は活躍の道を探すべきだというものでした。

一方、課題文Bで書かれている『記憶』では、2つ目に引用した文にあるように、『知識・データとしての情報』を超えた意義を見出しています。

もちろん、『知識・データとしての情報』としての価値も認めています。

ただ、人間の『記憶』については、どこか別の場所にデータとして置いておくものではなく、喜びや悲しみと紐づけて、自分を成長させるための経験として蓄積していくべきものだと述べています。

作文の方針

どういう視点で書くかの判断は難しい

この作文は、なかなかに難しいですね。

課題文Aの視点も、課題文Bの視点も、どちらも大切な視点です。

しかも、どちらを選ぶという選択もできません。

また、「自分の経験に結び付ける『記憶』とデータとして保存しておく『記憶』とを、しっかり整理する」なんてまとめをしても、いかにも恰好付けただけに聞こえてしまいます。

こういう時は体験を中心に

保護者の職業

保護者の職業が、一般的に「AIが普及したらとってかわられる可能性がある」と言われる職業の場合には、自分の保護者の話を中心に記載すればよいでしょう。

「保護者が、いつもこういうことを言っている」「だから、自分はこういうことができるようになるために、しっかり勉強していきたい」というような作文が、一番書きやすいと思います。

スポーツなどの勝負

スポーツなどの、人と対戦することをやっている人も書きやすいでしょう。

対戦相手は、純粋に正しい確率やデータで動いてくるわけではありません。

雰囲気や心境で、プレイは大きく変わります。

将棋や囲碁で、AIが人に勝てるようになりましたが、それでも、人対人が廃れないのは、人対人のドラマに魅力があるからです。

考えてもみてください。

ちょうどこの記事を書いている2018年7月2日。

W杯の決勝トーナメントで、ベスト8をかけて、日本はベルギーと戦います。

監督の急な解任があり、グループリーグ最終戦、対ポーランド戦での、負けている状況でのボール回しという、人間だからこその葛藤や決断があればこそ、人は批判もするし、燃えることもできるのです。

こういう面が、廃れることは、人の営みがある以上、失われることはありません。

料理や音楽でも

誰かを想って作る料理、誰かを想って演奏する音楽。

どんなに機械やAIが正確に何かを再現できるとしても、それはやはり、人がやるのとは別物です。

「こんな高級な機械を買って作ったから、絶対に美味しいよ!」よりも、「初めてだから見た目は悪いけれども、作ってみたから食べてみて」の方が、『人間として』、絶対に美味しいと思えるはずです。

さいごに

実は人間関係でも一緒。

誰か好きな人がいたとします。

コンピューターが「今なら告白成功率99%」とアドバイスしてくれても、それでも告白できないのが人間というものです。

人間同士の営みがほぼ消滅しない限り、人間関係においては、機械が入り込めない領域は失われません。

そういうことを、『記憶』『経験』と紐づけながら、きちんと作文できればいいと思います。

熱くなって書いてしまいました。

これも、人間だからですね(笑)

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